- とにかくどの一曲をとってみても想像を越えた音楽体験が待ちうけています。
人間の指というのは、こんなに速く動くものなのか!
ピアノというのはこんなに大きな音が出せる楽器なのか!
こんなにぞっとするほど美しい音が鳴らせるものなのか!
ピアノという楽器の性能を最大限に発揮させると、どれほどとんでもないものが出来あがるのか、その瞬間をあますところなく捉えた人類史に残るドキュメンタリーと言っても過言ではないと思います。
ホロヴィッツ自身の編曲作品がとりわけ凄絶な印象を与えます。
ここでのホロヴィッツは己と楽器の可能性を極限まで追求し、一人で演奏しているとは信じ難いような複雑なテクスチュアを、これまた信じ難いような轟音と痙攣するようなスピードで弾き切っていて、聴き手は唖然とするしかありません。
その他の曲でも上記のような特徴が顕著に表れていますが、内でもラフマニノフの第3番はそれらの特徴に加えて、感性をいっぱいに湛えた弱音と情熱的な昂揚をあわせもつ叙情的な表現が美しく、また感動的な素晴らしい名演になっています。 - バーバーのピアノソナタのホロヴィッツの演奏には、「にぎやか」という評もあるようだ。それは否定できないにしても、この「にぎやか」さはただものではない。この現代と古典とが混交した美しい曲の表現すべき内容をすべて暴露してしまうには、この「にぎやかさ」は不可欠であったというべきか。おそらく、作曲者も満足しているのではないか。この曲だけでも聴く価値ありと思われる。
- ホロヴィッツが若い頃どんな演奏していたのか興味を持った人におすすめです。ホロヴィッツの持つ悪魔的な感覚がよく反映された演奏が網羅されています。これは選曲した人の優れたセンスをほめたいです。
例えばバーバーのソナタはもともとホロヴィッツが初演したものです。だから誰もがホロヴィッツのように弾こうとしたけれど、結局叶いませんでした。近年は正確なメカニズムをもとにスタイリッシュな演奏をする人が多いけれども、この曲に潜む屈折したロマンティシズムに焦点をあてたホロヴィッツの解釈にはやはり誰も叶わない状況です(笑)。
なおラフマニノフの協奏曲は「20世紀の偉大なるピアニスト」シリーズに収録されたものと同じ録音です。ほかにも既出音源が多く、マニアとしてはサプライズがないのですが先に上げたように選曲が良いので☆4つ。 - ピアノを鍵盤のオーケストラと例えられますが、そのことをを最も実感できるディスクです。繊細なピアニシモから強く鋭いフォルティシモまで広いレンジで、まるで2台のピアノで表現しているかと紛うほどに多彩に、奏で、感動的に聴かせてくれます。音色は、美術館に飾られたたくさんの絵のように、鮮やかに、また淡い色彩で自己主張し、訴えます。古い録音ですが、決して色褪せてはいません。
ハルトマンの絵に感銘を受け作曲したムソルグスキーのように、聴く誰にも大きな感動を与える作品であり、この作品は私たちのために描いてくれたホロヴィッツによる絵画、「展覧会の絵」だと思います。。 - 第2曲目の「ラフマニノフピアノ協奏曲第3番」はピアノの音が鮮明で、ホロヴィッツらしいとても魅力的な演奏だ。
これ1曲だけでも十分に買う価値があると思う。
プロコの戦争ソナタは爆演を期待したが意外とおとなしい。展覧会の絵は録音は悪いが勢いのある演奏だ。モシュコフスキー、カルメン、ラコッツィ、星条旗・・・はホロヴィッツの得意気な超絶技巧演奏をひたすら楽しめばよい。
(しかしほんとにこの時期のホロヴィッツの指は凄まじい)
あと、ホロヴィッツの1940年〜1959年まで、1年ごとに詳しい演奏活動の内容が記載された解説書がついていて、とても参考になる。





